診療案内
ブラッシング・トレーニングの時
よくお話しすることをまとめました。
歯ブラシは洗面所で、という方が大半であると思います。
洗面所はどこの家でもあまり居心地がよい場所とはいえません。
イスはありませんし、冷暖房も完備している家もまずないでしょう。
どちらかというと長居したくない場所ではありませんか?
ゆっくりと時間をかけて歯ブラシをしようとする場合は、
まず洗面所を脱出することが大事です。
とはいっても朝は時間がないもの。
じっくりなんていっていられません。
でも朝はだれでもお口の乾燥などにより多少の口臭はあるものです。
お出かけ前にはササッとでも練り歯磨きで口臭予防。
ただし、これはあくまでもエチケット上の事。歯垢はこれではあまり落ちない。
夜はじっくりと練り歯磨きをつけないで時間をかけて磨いてください。
日頃なにげなく使っている練り歯磨きですが、実は弊害もあるのです。
練り歯磨きをたっぷりつけて磨くと、泡立ってしまい、1分もたたないうちにうがいをしたくなります。たいてい入っているミントの香りで、うがいをすると爽快感が得られ、きれいになったと感じてしまいます。
つまりきれいになる前に歯ブラシをやめてしまうことになるのです。
また、たいてい研磨剤が入っているので、よく磨こうとするほど歯や歯肉を削ってしまうという点も注意を要する点です。
実は回数の問題ではないのです。でも1回でよいかというと1日の汚れをそれだけで落とすのはなかなかしんどいことです。 最近、近くのオフィスでは、昼休みにも磨いている人も多く見受けられるようです。もちろんとてもよいことだと思います。 気を付けていただきたいのは、朝や昼休みの忙しい中で、同じウェイトで何回磨いても、磨き残してしまう場所は、いつもいっしょだということです。
口の中の万病のもとである歯垢は、歯に付着してから変化をしてゆくのをご存じですか?
歯垢を構成する菌は様々な菌がありますが、歯に付着してから時間がたつと、だんだん毒性の強い菌が増えてきます。もし磨き残している場所があると、そこは何年もずっと磨き残されていることが多く、そこから歯周病や虫歯が起きてくるリスクが高まります。
朝や昼に時間がなくて磨けなかった歯と歯の間や歯の裏側などをよく落とし、翌日に汚れを残さないことが大変重要です。
洗面所を脱出し、練り歯磨きの使用をやめれば、居間や自室で歯ブラシをすることができます。お行儀悪い、と思われるかもしれませんが、ゆったりソファーにでも腰掛けてやってみてください。5分や10分は楽に磨けるはずですよ。体をきれいにすることは、お風呂がそうであるようにリラクゼーションの効果もあるのです。是非取り入れていただきたい習慣です。
鍋を磨く、床を磨く、靴を磨くetc.
落ちにくい汚れをゴシゴシこすって落とし、
最後にはピカピカに光らせるといったイメージですよね?
歯を磨くのもこれと同じように思われている方が大変多いです。
歯垢は大変柔らかいもので、実は綿棒やガーゼでも落とせるくらいです。
ところが、綿棒などでは歯の間や、歯と歯肉の間の溝に歯垢を押し込んでしまいます。
そこで、汚れを掻き出す道具として歯ブラシが登場します。
デッキブラシや亀の子たわしは「磨く」道具ですが、
歯ブラシも似たような形をしています。これらは毛が硬く、
こびりついた頑固な汚れがとれるようになっています。
同じような感覚でゴシゴシ歯を磨きたくなるのも当然のことと思います。
でもちょっと待って下さい。
鍋や靴は交換がききますが、歯や歯肉ははそうはいきません。
70年も80年も同じものの手入れをしていかなければなりません。
歯ブラシによって歯や歯肉が削れていくのはよく見られる現象です。
できるだけ歯垢だけを落とし、
歯や歯肉を痛めないように手入れしていく必要があるのです。
歯ブラシは毛先を使う道具です。
歯垢を落とす効果が最も高いのは、
毛先が歯の面に直角に近い角度で当たったときなのです。
ホウキで細かいところに入り込んだ汚れを落とすときを想像して下さい。
弱い力で毛先を使い細かく動かしながら汚れをかき出しますよね?
大きく動かしたり押しつけたりしてもきれいにはなりません。
実は歯ブラシはホウキに似た道具なのです。
またまたホウキを連想して下さい。
ホウキは長いこと使っていると毛先が曲がってしまいますよね?
そんなもので部屋を掃いてもやりにくいばっかりで、きれいになりません。
新品のホウキより力も要ります。毛の腹の部分しか床にあたりません。
毛先の開いた歯ブラシも全くいっしょです。
かえって汚れをおしこんでしまいます。
効果的に歯ブラシをするためには、
毛先が開いてきたらすぐ交換し、新しいものを使用して下さい。
適正な力で歯ブラシをしている場合1ヶ月程度は使用できるはずです。
1~2週間で開いてしまうという場合は、
ブラシをする力が強すぎると思われます。
前のページにもあるように歯や歯肉が削れ、失われていくことが最大の副作用です。
そのためにも正しい歯ブラシのやり方をマスターしたいものです。
歯が削れていくスピードが早い場合、歯ブラシを当てると歯がチクチクしたり、冷たいものがしみたりする
知覚過敏症の状態になる場合があります。
また、歯肉はいつも表層が削られると、モコモコしたいじけた歯肉になり、ひどい場合には歯の根が大幅に露出します。
朝や昼休みの忙しい中、歯ブラシをしていただいている方が大勢いらっしゃいます。
すばらしい習慣です。
しかしながら、ここでちょっと意識していただきたいことがあります。
(きれいにしたい)+(時間がない)=(力が入る)
という図式です。
隅々まで磨くのは夜にとっておいてもらって、
時間がないときは完全にきれいにしようとは思わない方がよいのかもしれません。
夜は時間をかけ、弱い力でじっくりとやっていただきたいのです。
朝や昼は人のため(エチケットとして)夜は自分のため(予防として)と考えていただけるとよいと思います。
硬いブラシでゴシゴシ磨く
もうこの危険性に関してはご理解いただけたかと思いますが、
これが気持ちいいという人がいます。
クリニックで指導していても
「こんなんじゃ磨いた気がしない!」というわけです。
どうぞ一度ご自分の歯や歯肉を鏡でよく見て下さい。
かなり関係あります。手のひらの中にがっちり持ったり、
親指を添えたりすると力が入ります。
指だけで持って下さい。
持ち方は鉛筆持ちが基本です。
毛束が曲がってしまうような力をかけてはいけません。
「リンゴをかじると血が出ませんか?」
なんてコマーシャルを見たことある人は30代以上でしょうか?
歯ブラシをしても血が出ることがあります。
歯ブラシの力が強すぎて傷つけてしまったのでしょうか?
そういう場合もあるかもしれませんが、たいていは歯肉の炎症を示しています。
この炎症の原因は歯垢の中の細菌の出す毒素です。
歯肉から血がでると、「歯肉が弱っているから」「傷があるに違いないから」と歯ブラシをやめてしまう人が多いようです。
歯垢を落とさない限りこの炎症は治らず、出血も止まりません。
食事のあとの食べかすは気持ち悪いもの。
でも本当におとしたいのは歯垢です。
歯垢は歯に付いた白い付着物で、色が白いので保護色となり、
目で見分けるのは難しいです。
ほとんど細菌でできています。
いろんな菌が層をなした構造をしており、水に溶けない成分に守られています。
消毒薬もうがいも効果はありません。
これが歯ブラシのターゲットです。
正しいブラッシングを行えば歯石除去などの治療を行わなくてもほとんどの場合2週間程で歯肉からは出血しなくなります。
もちろんその後のケアは必要です。
どこから血が出ているのか?、どうやればそこの部分を正しく磨けるのか?
自分だけで取り組むのはなかなか難しいことです。
どうぞ私たちのクリニックを使って下さい。
正しいブラッシングを覚えていただくことは治療よりも大事なことです。